リアリティの欠如とエリート主義――「〈橋下なもの〉に感じる違和感」への違和感(3)
朝生・番外編①――“内容がないよう”
AKB48米平騒動がクライマックスを迎えていた1/28の未明、実は『朝まで生テレビ!』では、橋下徹大阪市長と反橋下の論客数人による「激論! 大阪市長“独裁・橋下徹”は日本を救う?!」(1/22に行われた討論の録画)が放送されていた。というか、1/28の未明が壮絶過ぎるだろJK
その内容なのだが、せっかく反橋下派が結集して3時間ほどの討論時間があったにもかかわらず、彼/彼女らの橋下批判は概ね具体性を欠き、揚げ足取りのようなものばかりであった。批判は総じて橋下市長への「手法」に対してであり、政策に対する本質的な批判はなかったように思う。
具体的な批判と言えば、薬師院仁志さん(帝塚山学院大学教授)や山下芳生さん(共産党・参院議員)が選挙の際のビラを取り上げて、橋下市長へマニフェスト違反を指摘している場面があった。しかし、これは中身のある批判ではなかった。これによって薬師院さんは、「チラ師院」「朝生のチラシ係」といった称号を得ることになった。
印象に残ったやりとりを1つ紹介したい。
薬師院「大阪が一番繁栄していた、人口が一番多かった時期をご存知ですか?」
橋下 「大正時代の300万です。相対的にですよ、東京と比べた時にですよ」
薬師院「1940年=昭和15年の325万です。それから人口が減って、大阪の地盤沈下は始まったんです」
これは恐らく、薬師院さんではなく橋下さんの方が、より本質的な回答をしていると思われる。こうしたやりとりからも推測されるように、薬師院さんの話は常に本質を捉え損ねており、その上、建設的な議論を進めようとする姿勢も見られなかった。
また、薬師院さんは大阪市民らしく、自らを“大阪市民の代表”であるかのように振舞っていたが、正味のところ、橋下市長が選挙で当選していることから考えて、彼は“大阪市民の代表”ではなく“反橋下の大阪市民の代表”に過ぎないのではないだろうか。加えて、香山リカさん(精神科医)は、橋下さんが憲法9条改正論者・核保有論者であることを取り上げ、「彼は民主的ではない」という趣旨の発言をしていたが、これも普通に考えて、憲法9条改正や核保有の是非と「民主的か民主的でないか」とは関係がないのではないだろうか。
唯一、橋下市長の政策に対して具体的で直接的な批判をしていたのが、柳本顕さん(自民党・大阪市会議員)である。彼は、「大阪都構想」で大阪市が複数の行政区に分割されると、税収が多い区と少ない区ができ、結果として大阪市域内に格差が生じるのではないかとの懸念を示した。その上で、こうした行政区間の税収の差を是正するための財政調整についても、「その仕組みがいまいち分からない」と疑問を呈した。
これに対して橋下市長は、「大阪市の260万人全体で決定しなくてもいいのではないか、というのが僕らの考え方。市長をやれば分かる。260万の都市では住民の顔が見えない。路地裏がどうなっているのか、公園がどのような状況になっているのか、まったく分からない。基礎自治体の仕事ができない」とし、「大阪都構想」の重要性を強調しつつも明確な答えは避けた。
柳本さんは食い下がり、「複数の特別自治区になった時に行政コストは上がらないのか?」と質問を重ねた。これを受けた橋下市長は、「制度設計はこれから詰めていく。財源がどうなるのか、権限はどうなるのか。大阪市が受けている交付税や税収によって十分に賄えるという一定の結論は出ている」と述べたものの、具体的な回答は再び避けた。
しかし、こういった「大阪市域内に格差が生じる」という批判も、制度によって調整可能な問題であり、本質的な議論ではないだろう。教育の問題についても同じで、手法ばかりが非難され、本質的な批判はなされていなかったように思う。
(朝生・番外編②――“考察したった”へつづく)
AKB48米平騒動がクライマックスを迎えていた1/28の未明、実は『朝まで生テレビ!』では、橋下徹大阪市長と反橋下の論客数人による「激論! 大阪市長“独裁・橋下徹”は日本を救う?!」(1/22に行われた討論の録画)が放送されていた。というか、1/28の未明が壮絶過ぎるだろJK
その内容なのだが、せっかく反橋下派が結集して3時間ほどの討論時間があったにもかかわらず、彼/彼女らの橋下批判は概ね具体性を欠き、揚げ足取りのようなものばかりであった。批判は総じて橋下市長への「手法」に対してであり、政策に対する本質的な批判はなかったように思う。
具体的な批判と言えば、薬師院仁志さん(帝塚山学院大学教授)や山下芳生さん(共産党・参院議員)が選挙の際のビラを取り上げて、橋下市長へマニフェスト違反を指摘している場面があった。しかし、これは中身のある批判ではなかった。これによって薬師院さんは、「チラ師院」「朝生のチラシ係」といった称号を得ることになった。
印象に残ったやりとりを1つ紹介したい。
薬師院「大阪が一番繁栄していた、人口が一番多かった時期をご存知ですか?」
橋下 「大正時代の300万です。相対的にですよ、東京と比べた時にですよ」
薬師院「1940年=昭和15年の325万です。それから人口が減って、大阪の地盤沈下は始まったんです」
これは恐らく、薬師院さんではなく橋下さんの方が、より本質的な回答をしていると思われる。こうしたやりとりからも推測されるように、薬師院さんの話は常に本質を捉え損ねており、その上、建設的な議論を進めようとする姿勢も見られなかった。
また、薬師院さんは大阪市民らしく、自らを“大阪市民の代表”であるかのように振舞っていたが、正味のところ、橋下市長が選挙で当選していることから考えて、彼は“大阪市民の代表”ではなく“反橋下の大阪市民の代表”に過ぎないのではないだろうか。加えて、香山リカさん(精神科医)は、橋下さんが憲法9条改正論者・核保有論者であることを取り上げ、「彼は民主的ではない」という趣旨の発言をしていたが、これも普通に考えて、憲法9条改正や核保有の是非と「民主的か民主的でないか」とは関係がないのではないだろうか。
唯一、橋下市長の政策に対して具体的で直接的な批判をしていたのが、柳本顕さん(自民党・大阪市会議員)である。彼は、「大阪都構想」で大阪市が複数の行政区に分割されると、税収が多い区と少ない区ができ、結果として大阪市域内に格差が生じるのではないかとの懸念を示した。その上で、こうした行政区間の税収の差を是正するための財政調整についても、「その仕組みがいまいち分からない」と疑問を呈した。
これに対して橋下市長は、「大阪市の260万人全体で決定しなくてもいいのではないか、というのが僕らの考え方。市長をやれば分かる。260万の都市では住民の顔が見えない。路地裏がどうなっているのか、公園がどのような状況になっているのか、まったく分からない。基礎自治体の仕事ができない」とし、「大阪都構想」の重要性を強調しつつも明確な答えは避けた。
柳本さんは食い下がり、「複数の特別自治区になった時に行政コストは上がらないのか?」と質問を重ねた。これを受けた橋下市長は、「制度設計はこれから詰めていく。財源がどうなるのか、権限はどうなるのか。大阪市が受けている交付税や税収によって十分に賄えるという一定の結論は出ている」と述べたものの、具体的な回答は再び避けた。
しかし、こういった「大阪市域内に格差が生じる」という批判も、制度によって調整可能な問題であり、本質的な議論ではないだろう。教育の問題についても同じで、手法ばかりが非難され、本質的な批判はなされていなかったように思う。
(朝生・番外編②――“考察したった”へつづく)



